遺言の選択その2 公正証書遺言について メリット・デメリットを解説

/無効とならない遺言を確実に残したいなら公正証書遺言が適しています/


公正証書遺言は、遺言者が自身の死後のために遺言したい事項を公証役場において作成する遺言証書です。

証人立会いの下、法律の知識を持つ公証人に遺言の趣旨を口頭で伝え作成してもらうため、方式の不備に加え、書式の不備により遺言が無効となる恐れがほとんどありません。

この事から公正証書遺言は、他の遺言に比べて相続人間のトラブルが少ない遺言方式だと言えるでしょう。

口のきけない方や耳の聞こえない方、また手が不自由で自書することができない方でも、通訳人の通訳を介する等の方法により遺言することができます。

通訳人の資格については特に必要とされず、本人の意思を確実に他者に伝達する能力があれば良いとされています。

この場合、後に真意の確保が問題となる可能性があるので注意が必要。

作成要件とその流れ

  • 証人2人の立会いの下、
  • 遺言者が遺言の趣旨を口頭で伝える。
  • 公証人が遺言者の口述を筆記し、これを遺言者および証人に読み聞かせ、または閲覧させる。
  • 遺言者および証人が筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押す。
  • 公証人が民法所定の方式に従って作成したものであることを付記し、これに署名し印を押す。

公正証書遺言にするメリット

  • 公正証書遺言は、公証人と証人2人の立会いのもと作成されるため、遺言者が自分の意思で作成したという信憑性が高く、遺言内容が実現される可能性が最も高くなります。
  • 家庭裁判所での検認手続きを必要としないため、相続開始後、ただちに遺言を執行できます。
  • 遺言書の原本は公証役場に保管されるので、偽造・変造などされるおそれがなく安心できます。
  • 遺言者が自分で署名できない場合でも、公証人がその事由を付記して署名に代えることができます。
  • 遺言者が病床にある場合や、高齢で公証役場に行けない場合にも、公証人に出張を求めることができます。

公正証書遺言のデメリット

  • 公証役場での手続きが必要で、自筆証書遺言に比べて作成に手間がかかります。
  • 公証役場に支払う手数料が発生します。
  • 出張を依頼した場合は出張費が加算され、公証人の日当と交通費がかかります。
  • 証人2名以上が必要です。
  • 遺言の内容は証人にも伝えるため、人に知られたくないと思っていても、その点で完全に秘密にすることはできません。

公正証書にする場合は多くのメリットがありますが、公証役場に出向いていかなければならないという手間が発生します。

そしてもう一つは手数料。

公証役場での手数料が余計に発生するので、下に載せておきます。


公証役場に支払う手数料


(公証人手数料令第9条別表)

目的の価額手数料
100万円以下5,000円
100万円を超え200万円以下7,000円
200万円を超え500万円以下11,000円
500万円を超え1,000万円以下17,000円
1,000万円を超え3,000万円以下23,000円
3,000万円を超え5,000万円以下29,000円
5,000万円を超え1億円以下43,000円
1億円を超え3億円以下4万3,000円に超過額5,000万円までごとに1万3,000円を加算した額
3億円を超え10億円以下9万5,000円に超過額5,000万円までごとに1万1,000円を加算した額
10億円を超える場合24万9,000円に超過額5,000万円までごとに8,000円を加算した額
参考:日本公証人連合会ホームページより
  1. 財産の相続又は遺贈を受ける人ごとに目的の価額を算出し、その価額に対応する手数料額を合算して、当該遺言書全体の手数料を算出します。
  2. 全体の財産(目的価額の合計額)が1億円以下のときは、上記①によって算出された手数料額に、1万1,000円が加算されます(遺言加算)。
  3. 遺言書は、通常、原本、正本、謄本を各1部作成し、原本は公証役場で保管します。原本の枚数が法務省令で定める枚数の計算方法により4枚(法務省令で定める横書の証書にあっては、3枚)を超えるときは、超える1枚ごとに250円の手数料が加算され、正本と謄本の交付に1枚につき250円の手数料が必要となります。
  4. 遺言者が病気又は高齢等のために公証役場に赴くことができず、公証人が、病院、ご自宅、老人ホーム等に赴いて公正証書を作成する場合には、上記①の手数料が50%加算されるほか、公証人の日当と、現地までの交通費がかかります。
  5. 祭祀の主宰者の指定をする場合は1万1,000が加算されます。

公正証書遺言の作成手順

1. 必要書類の収集


  1. 遺言者の印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)と実印
  2. 遺言者と相続人との関係がわかる戸籍謄本
  3. 相続人以外の者に遺贈する場合は、受遺者の住民票
  4. 財産に不動産が含まれている場合は、納税通知書の課税明細書又は固定資産評価証明書
  5. 不動産の登記事項証明書、金融資産の資料(通帳のコピー)など
  6. 遺言者が証人を用意する場合は、証人の住所、氏名、生年月日、職業がわかるもの
  7. 遺言執行者が相続人又は受遺者以外の場合、 住所、氏名、生年月日、職業がわかるもの

2. 公証人との事前協議


  1. 遺言者の意思と収集した資料を基に、遺言書の文案を作成した後、公証役場に予約を入れ公証人と事前協議を行います。
  2. 遺言書の文案について公証人とすりあわせを行いながら、遺言の内容を決めていきます。
  3. 最終的に遺言者の確認を経て、遺言内容を確定します。

3.公正証書遺言の作成日時を確認・調整する


  1. 公正証書遺言の作成に必要となる証人2名を選定しておきます。
  2. 証人として適当な知り合いが見つからない場合は、公証役場で紹介してもらうことができます。
  3. 遺言者・公証人・証人2名の予定を確認・調整して、作成日時を決定します。

4.作成当日


  1. 公証人が、事前協議を経て用意した遺言書の内容を読み聞かせ、遺言者と証人は内容が正確なことを承認した後、各自署名し印を押す。
  2. これに公証人が署名・押印して完成します。

5.公正証書遺言の作成完了


  1. 原本は公証役場で大切に保管され、「正本」1部と「謄本」1部が交付されます。
  2. 遺言執行者がいる場合は、正本1部を保管してもらうと良いでしょう。

遺言書作成までのフローも掲載しておきました。是非、公正証書遺言の作成を検討してみて下さい。

今回はこの辺で。

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